膝蓋腱反射

膝が反射で書き殴るところ

2022-23シーズン 個人的ベストプログラム

人もすなるベストプログラムというのを初めてやります。

とかく優柔不断なのでツイートするには候補が多くなりすぎて例年放棄していたのですが、ブログという利器を手に入れたのでやってみたいと思います。

※一選手1プロ縛りをしています

※ライト層の個人的意見です

 

 

・シニア部門

今シーズンはタレントの乱れ咲き状態で選ぶのにとても苦労しました。

 

・Kévin Aymoz SP "Still Don't Know My Name"

ベスト演技:USIC、WC

自分にとっては今季の男子シングルを象徴するプログラム。全てにおいてエイモズ。言葉はいらない。ただ体幹が強いとかバネがあるというだけではなく、優れた身体能力と果てしない研鑽を感じる身体操作技術が融合した極上のダンスにして競技プログラム。THE ICEで見た時点でこれはヤバいと感じていました(古参アピール)。

こういう類の音を腕や上半身の動きで表現するのは本当に難しいと思いますが、完璧の一言に尽きる仕上がりでした。どこをいつどう止めてどこをいつどう動かしてるのか僕には想像もつきません。

StSqのクールさも素晴らしい。これを洒脱って言うんだよな。辞書の用例のとこに載せてほしい。スピンも音ハメスピード滑らかさ全て最高レベル、ポジションもユニークなものを入れてあり難出からスムースにステップに入る流れも良いと言うことなし。

個人的には冒頭のイーグルの腕の動きとか、ベスティ入る前の上を向く動きとかが好きです。このプログラムを観るときは誇張抜きに毎秒「うめェ~~~~」って声を出してました。

3T3Tと3Sで固めたUSICがトランジションとしては一番堪能できたかな、と思ったのでベスト演技に入れてあります。

StSqの編曲とフィニッシュポーズはUSICバージョンが一番好きです(大声)

 

宇野昌磨 SP 「Gravity」

ベスト演技:WC

円熟という言葉がぴったり。氷に絡みつくスケーティングで独特のタメと脱力感を表現することで得も言われぬチルさが醸し出されています。この音楽を滑りこなせる男子は現在恐らく宇野選手だけではないでしょうか。シーズン序盤からの成長も著しかったです。

 

・Junhwan Cha FS "No Time To Die James Bond 007"

ベスト演技:WC

ノー摩擦でかっ飛ぶスケーティングとそこから流れで跳ぶジャンプ、シームレスに移行するのでまるで湧き出すように見えるトランジション、具体的な音ハメ以外でも流れを拾い続ける音楽表現と全てが揃っていました。3Aは・・・まあ・・・という感じですが、特に2本目に関してはそんなに気にならなかったです。

 

・Adam Siao Him Fa SP "Rain, In Your Black Eyes"

ベスト演技:EC

個性爆発プログラム。冒頭のマイムで観客を引き込み、そのまま一気に最後まで駆け抜けます。静かに始まりStSqで苦悩が爆発する表現力は鳥肌モノでした。エイモズと同じくユニークさを裏打ちする技術力がすごい。

 

・Keegan Messing FS "Home, Lullaby for an Angel"

ベスト演技:WTT

涙腺特攻すぎる。強すぎる膝と傑出したスケーティングスキルにより雄大で骨太なのに伸びやかなスケーティングと滑らかでストレスフリーなジャンプが揃った彼の良さをとてもよく堪能できるプログラム。今シーズンは全ての試合でドラマを感じる素晴らしい最終シーズンだった気がします。SPと迷ったけど試合が決まるFSのほうが涙腺に来てたのでこっち。

 

・河辺愛菜 SP「When the Party's Over, Bury a Friend, Bad Guy」

ベスト演技:GP Espoo

FaOIで見てすぐにぶっ刺さったプログラム。期待にたがわぬ爆イケプロでした。特にStSqが素晴らしく、サクサクと踏まれるターンが小気味いいです。あと個人的には冒頭インイーグルでギュンってするところが死ぬほど好きです。来季はFSが黒衣装のボレロということで既に大正解の予感がしています。

 

・住吉りをん FS「Enchantress」

ベスト演技:N杯

衣装とメイクが世界観と完璧にマッチ。ジャンプのタイミングやつなぎ等の構成が最高で、振付の力を感じました。本当に一瞬も休憩を許さない鬼のプログラムですが、シーズン後半には大分食らいつけているように見えました。ジャンプがさらにでっかく決まってくると見ごたえが増す気がします。継続ということなので今シーズンが楽しみで仕方ないです。

 

・坂本花織 FS「Elastic Heart」

ベスト演技:Skate America

力強く心に響くSiaのボーカル、優しくも訴えかけてくるピアノと坂本選手のディープエッジから生まれるうねるようなスケーティングはベストマッチ。自由を体現したようなスケーターだと思います。どうも一筋縄ではいかないシーズンでしたが、文字通り不屈の心で最後には栄冠を掴んだストーリーも重なって目を離せないプログラムでした。振付師変更によりこれまでにない有機的な動きが増え、また表現の幅が広がっていきそうです。

 

・渡辺倫果 SP「ロクサーヌのタンゴ」

ベスト演技:GPF

妖艶な演技がとにかくかっこいい。目元の赤いやつ超好きです。全体的に圧力を感じる演技ですが、特にStSqではターンの回転する力をうまく表現に活かしてぐいんぐいんと迫力を出せていると思います。綺麗に決まった試合がちょっと少なかったエレメントになりますが、3Lz+3Tの音ハメもゾクゾクします。ラスト付近で畳みかける音ハメもとても良いです。

 

・Kamila Valieva SP "Interstellar"

ベスト演技:テススケ

美の権化。ただのクロスすら美しい。ガチで全部が良いので言うことなし。柔らか、しなやか、シームレスな全身(これが全身使ってできるのが本当にすごい!)の動きが流れるような音楽と調和して息をすることも忘れます。特に後半3Lz+3Tは3Lz構え→踏み切り→着氷→3T構え→踏み切り→着氷→チェックのフリーレッグ上げと全てで拍が捉えられていて圧巻でした。また、3Fの構えのタメのタイミングも曲と完璧にマッチしていて個人的にものすごく好きです。結局全部良い。

 

・Elizaveta Tuktamysheva FS "Loneliness"

ベスト演技:RN

哀しくも美しい。笑顔で戯れているように見える中盤~終盤すら決して明るくならない。別れを告げるようなスパイラルが心に来ます。ラストのポージングもあまりに寂しく美しいです。衣装で正面で抜かれた薔薇が背面に配されているのもオシャレ。髪型もいい。というかほつれ髪がいい。3F抜けはあったもののジャンプやスピンが一番シャープに入った感のあった全露をベスト演技にしました。

 

・Sofya Akatyeva FS "Welcome to Earth"

ベスト演技:Channel 1 Cup

生命の息吹を感じるプログラム。神秘的な序盤~プリミティブな躍動感を感じる中盤~スライド系ムーブで一気に晴れやかになる終盤という構成が素敵。個人的には密林を命に溢れた林床~鳥が飛翔する林冠まで登っていくような感覚でした。良い意味で人間味を感じさせない、スピリチュアルな演技でした。

 

・Piper Gilles / Paul Poirier FD "Evita"

ベスト演技:WC

キャラクターへの入り込み方が凄い。上を目指し続けたエビータの心から消せなかったものを見せられているように感じました(劇中で曲が使われるタイミング的にはちょい違う気もしますが)。ギレス選手の闘病とも重なり世界選手権では演技開始前から感極まったような表情をしていたのが印象的でした。

 

・Madison Chock/ Evan Bates FD "Souffrance, Le Tectoniques"

ベスト演技:WTT

これが世界最高峰のカップルか・・・となったプログラム。次から次へと繰り出されるなんでコケないねんムーブの数々と氷を捉えて離さないスケーティングに圧倒されました。全体的に体の使い方が上手すぎるのですが、特にリフトがあり得ないくらいスムースでドン引きしていました。

 

・Sara Conti/ Niccolo Macii FS "Nuovo Cinema Paradiso"

ベスト演技:WC

もともとミュージカルプロに弱いのですが、このプログラムは特に沁みました。歌い上げるという表現がしっくり来るような滑りが朗々としたボーカルをとても良く表現していたと思います。ロマンチックなプログラム。

 

 

・ジュニア部門

シーズン序盤に活躍するのでどうしても自分の中では印象が薄くなっていきがちなのですが、その中でもいくつか印象に残ったプログラムがあるので紹介します。

 

・Lucas Broussard FS ”The Leftovers”

ベスト演技:JGP Gdansk (1)

どの音にどの振付が対応するかしっかり見せてくれていると感じました。滑らかなスケーティングに加え、タノジャンプや高いフリーレッグが美しすぎる。特に全米の4Tは必見のクオリティ。SPも良かった。

 

・櫛田育良 FS「サムソンとデリラ

ベスト演技:JGP Ostrava

ゴージャスの一言に尽きました。プログラム全体に音ハメやさりげないトランジションが散りばめられているのがとても好み。イリュージョン、回転速度増加、チェンジエッジのタイミングまで(たぶん)拘られたスピンがプログラムのハイライトを演出し、空白の時間をほぼ感じなかったです。

あとChSqのスキッドスパイラルがあまりに天才。見て。

 

・島田麻央 FS「Passpied」

ベスト演技:JGPF

世界に名乗りを上げたプログラム。全員言ってるけど3F+2Aのタイミングが神すぎる。その他もひたすらクオリティが高く頭一つ抜けた才能を再確認しました。これは日本勢全般の特徴かもしれませんが、3A、4Tに入る軌道が比較的短いうえ極力姿勢を固定しないような振付になっていて空白感が少ないのも良いなと思いました。

 

・千葉百音 SP「シンドラーのリスト

ベスト演技:4CC

流麗な上半身使い、演技力が素晴らしい。ちょっとした視線の上げ方や表情にゾクッとさせられました。スケーティングの良さは言わずもがな。この重たい音楽を見事にものにしたと思います。

 

 

・Honourable Mention

・Ilia Malinin FS "Euphoria"

ベスト演技:Skate America

歴史に残りそうなので書かずにはいられなかった。初の4Aを降り、後半4Lz込の5クワド、6クワド(、練習では7クワド)に挑んだ人類の限界を窮めんとするプログラム。

無限クワド編に体力と繋ぎのリソースを吸われ必ずしも本来のプレゼンテーション能力を発揮できているとは思わないですが、体力面で余裕のあったスケアメ、明らかに表現面をブラッシュアップしてきたWTT等のChSqには確かに光るものを感じました。来季が楽しみです。

 

 

 

ざっとこんな感じです。選手の皆さん、今季もステイヘルシーで実力を発揮できるように応援しています!

 

 

 

 

 

おまけ:泣く泣く削ったもの

リッツォFS ジュンファンSP ペトロシヤンSP ルナヘンSP ペトロキナSP フィアギブFD りくりゅうFS Francois Pitot SP

ジュンファンのジャッジ前ドヤ顔アイソレがかっちょよすぎて真似してみたらニヤけ顔で肩と頭を揺らす不審者になりました。肩揺れてたらアイソレーションできてないじゃんね。